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(上図は2016年版、ペリカンのように口を広げる様子) 第二次世界大戦末期の1944年4月、英国の爆撃機から投下された爆弾により、ドイツ、ミュンヘンの博物館とともに、その中にあった恐竜の骨格標本が焼失しました。失われたのはエルンスト・シュトローマー(Ernst Stromer)に指揮されて1912年にエジプトで発見された恐竜スピノサウルス(“トゲを持つトカゲ”)の化石標本。学名Spinosaurus aegyptiacus。
背中のトゲが形作る帆のような構造が際立った肉食獣です。標本破壊後には限られた写真とスケッチのみが残されたのですが、もともとの標本そのものが全身像を得るにはまだほど遠い部分的なものであり、その部分的な骨格の再現にも誤りがあったと考えられます(文献1)。
スピノサウルスまたはその類縁と思われる恐竜の部分的な化石はアフリカを中心にいくつかの場所で見つかるものの、十分な情報がなかなか得られないまま、その形態や生態については謎が残っていました。