恐竜の話題(論文紹介): 2016

2016年11月18日金曜日

(28) プシッタコサウルス、森の中でカモフラージュ

[ 図:推定されたプシッタコラサウルス(Psittacosaurus)の体色。口先はオウムのクチバシのようになっています。名前もオウム(psittacines)に由来します。 ]

2016年5月14日土曜日

(22) 恐竜の前肢から鳥の翼への進化 ~指の数と形にまつわる不思議


恐竜が進化する中から鳥類が現れたという考えは、今日ではほぼ間違いのないものとして定着しています。しかし、その進化の過程でどのように恐竜の体の形や機能が現在の鳥類のように変化したのか、不思議な点はあります。最も関心を呼んできたのが、恐竜の前肢と鳥の翼における指の関係についてです。

2016年3月21日月曜日

(20) ティラノサウルスへの系譜 ~古大陸上での分布と巨大化への道のり

[ 図:ティラノサウルス(Tyrannosaurus)とティムルレンギア(Timurlengia) ]
肉食恐竜の代表ともいえるティラノサウルス。体長ではこれを上回るスピノサウルス( 話題18 )が知られてはいますが、13メートルに達する体に、30センチにもなる強大な歯、頑強な顎は地上最強の肉食獣の証とされています。
この巨大なティラノサウルスの登場は白亜紀の遅くになってからです。しかし、ティラノサウルスとその仲間につながる先祖といえる恐竜は、すでに白亜紀の前の時代であるジュラ紀の中期までには出現していたと考えられています(文献1)。人くらいの大きさであった、その時代の恐竜からどのようにティラノサウルスへ進化してきたのでしょうか。

2016年2月20日土曜日

(19) オビラプトロサウルスの”ロミオとジュリエット”--- 2頭はきっとカップル

[図:羽毛恐竜カーン(Khaan mckennai)は尾を使ってダンスディスプレイ(courtship display) をしていた?]

話題(12) とは別の、恐竜の姿の雌雄差に関する2015年の報告(文献1)についてです。

2016年1月30日土曜日

(18) スピノサウルス--- 半水棲の巨大肉食恐竜、その姿と生態は?

  --- 続編は話題44へ ---

(上図は2016年版、ペリカンのように口を広げる様子) 第二次世界大戦末期の1944年4月、英国の爆撃機から投下された爆弾により、ドイツ、ミュンヘンの博物館とともに、その中にあった恐竜の骨格標本が焼失しました。失われたのはエルンスト・シュトローマー(Ernst Stromer)に指揮されて1912年にエジプトで発見された恐竜スピノサウルス(“トゲを持つトカゲ”)の化石標本。学名Spinosaurus aegyptiacus
背中のトゲが形作る帆のような構造が際立った肉食獣です。標本破壊後には限られた写真とスケッチのみが残されたのですが、もともとの標本そのものが全身像を得るにはまだほど遠い部分的なものであり、その部分的な骨格の再現にも誤りがあったと考えられます(文献1)。
スピノサウルスまたはその類縁と思われる恐竜の部分的な化石はアフリカを中心にいくつかの場所で見つかるものの、十分な情報がなかなか得られないまま、その形態や生態については謎が残っていました。

2016年1月3日日曜日

(17) ながーい、長い恐竜の首 ~キリンの首が竜脚類の首ほど長くなれない訳


なぜ長い? 恐竜の首、キリンの首


恐竜の中で雷竜(かみなりりゅう)とも呼ばれる竜脚類(りゅうきゃくるい)は生物史上最大の陸上動物です。アパトサウルス、ブラキオサウルス、ディプロドクスがとくによく知られています。これらを含めて体重何十トンにも達する巨大なものが多くいた一方で、成体で4~5トン以下の竜脚類はほとんど知られていません(文献1;大陸から離れて島で暮らすようになった動物は矮小化するという島嶼化(とうしょか)の結果と思われる例の報告はあります)。
さても、竜脚類は首が長いのが特徴です。
過去には、巨体を支えるのが大変なので普段は水中で暮らしており、その長い首をシュノーケルのように使っていたかもしれないという想像もあったのですが、現在は陸上をしっかりとのし歩いていたということで決着しています。

なぜ竜脚類はそんなに首が長い?